「通信に関する理論」カテゴリーアーカイブ

【基本情報・応用情報】
情報を伝送するための技術について、代表的な方式の考え方、仕組みを習得し、応用する。

通信に関する理論

情報処理技術者試験での学習内容

【基本情報・応用情報】
情報を伝送するための技術について、代表的な方式の考え方、仕組みを習得し、応用する。

(1)伝送路 基本情報 応用情報

伝送路上でデータがどのように伝送されるか、伝送路の考え方、仕組みを理解する。

用語例:単方向、半二重、全二重、2線、4線、直列、並列

(2)変復調方式 基本情報  応用情報

デジタルデータをアナログ伝送路を介して送るために必要な仕組みである変調、それを受信側で元に戻す処理である復調の代表的な方式の考え方、仕組みを理解する。

用語例:AM(Amplitude Modulation:振幅変調)、FM(Frequency Modulation:周波数変調)、PM(Phase Modulation:位相変調)、PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)、モデム

(3)多重化方式 基本情報 応用情報

一つの伝送路を複数の通信で同時に使用する多重化について、代表的な方式の考え方、仕組みを理解する。

用語例: FDM(Frequency Division Multiplexing:周波数分割多重)、TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)、CDM(Code Division Multiplexing:符号分割多重)、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)

(4)誤り検出・訂正 基本情報  応用情報

偶数パリティ、奇数パリティなど、信頼性を高める技術の考え方、仕組みを理解する。

用語例: CRC、ハミング符号、パリティチェック、ECC、チェックサム

(5)信号同期方式 基本情報  応用情報

送信側と受信側で送受信のタイミングを合わせる信号同期制御について、代表的な方式の考え方、仕組みを理解する。

用語例: ビット同期、キャラクタ同期、フラグ同期、調歩同期、スタートビット、ストップビット、SYN同期、フレーム同期

(6)暗号化 応用情報

暗号化に関連する技術の考え方、仕組みを理解する。

用語例:符号理論、公開鍵、秘密鍵、PKI(Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)

(7)データ圧縮 応用情報

データ圧縮に関連する技術の考え方、仕組みを理解する。

用語例: 符号理論、ランレングス、ハフマン符号

 

伝送路と通信方式

この記事での学習内容 基本情報 応用情報

伝送路上でデータがどのように伝送されるか、伝送路の考え方、仕組みを理解する。

用語例:単方向、半二重、全二重、2線、4線、直列、並列

伝送と伝送路

  • 伝送:機器の間でデータをやり取りすること
  • 伝送路:データをやり取りするための経路

搬送波

何らかの情報を載せて、有線・無線・波動(光や音波)で送るための信号のこと。キャリア、キャリア波ともいいます。

直流方式と交流方式

デジタルデータを伝送する方式には、直流方式と交流伝送方式があります。  

  • 直流方式:デジタル信号に対応した直流信号をそのまま伝送する方式。ベースバンド方式。
  • 交流方式:アナログ伝送路にデジタルデータをアナログ信号に変換して伝送する方式。帯域伝送方式。

シリアル伝送とパラレル伝送

シリアルの場合は、1本の線で1ビットずつ順番に信号を送ります。

パラレルの場合は、複数の線で複数のビットを同時に送ります。

デジタル信号の送り方

伝送は信号の方向による分類の他に、信号の数による分類もあります。(前述のシリアル伝送とパラレル伝送)

伝送性能は、一般的には同時に複数の信号を送れる並列方式が優れているとされてきましたが、伝送路が長かったり信号の周波数が高くなったりすると、複数の信号のタイミングを合わせることが難しくなります。そのため、長距離の通信や高周波数での伝送には、シリアル伝送方式が使われることが多くなっています。

とくに、近年はシリアル伝送方式の性能向上が著しいため、制御の容易なシリアル伝送方式が用いられることが多くなっています。(USBが代表的)

単方向通信と双方向通信

伝送における信号が流れる方向は、単方向通信と双方向通信に分けられます。

単方向通信は、一方向にしか信号が流れない通信で、例えばGPSを使った自動車とGPS衛星の間は単方向の通信となっており、この場合、自動車から衛星へは、電波は送られません。

このため、単方向通信では、送信元は、データが相手に届いたことを確認したり、データの破損を検出することが出来ません。その為、コンピュータ間の通信では、ほとんど使われていません。

これに対して双方向通信は、相互に信号をやり取りできる通信であり、単方向通信とは異なり送信元は、送信先からデータが届いたり、データの破損があった場合などに、送信先からの通知を受け取ることが可能になっています。

双方向通信の際の通信の方法

双方向通信には、伝送路の使い方の違いから、半二重通信と全二重通信に分けられます。

半二重通信は一本の伝送路で、単方向のみへの通信が可能な方式です。データを二者間でやり取りする場合、データの送信・受信を同時に行うことは出来ません。

全二重通信は同時に双方向の通信が可能な方式で、データの送信・受信を同時に行うことが出来ます。半二重・全二重の違いがわかり易い例として、鉄道の単線と複線の違いがあります。

鉄道の単線では、駅などで対向列車を待ち、双方向で線路を使う時間帯を分けることで双方向の行き来を可能にしています。

但し、伝送路の場合は、鉄道の線路とは異なり、時間をずらす以外にも1本の伝送路を使い分ける方法があります。

時間で分ける方式を『時分割複信(TDD:Time Division Duplex)』と呼び、これは鉄道と同様に、双方向で伝送路を使う時間を分けて、通信を行う方法で半二重通信で用いられます。

別の方式として『周波数複信(FDD:Frequency Division Duplex)』という方法があり、これは1本の伝送路を、周波数帯を使い分けることで、あたかも複数の伝送路があるかのように使う方式で、全二重通信に用いられます。

伝送速度と信号速度

  • 伝送速度(転送速度)・・・伝送路を通ってデータが送られる速度
  • 信号速度(変調速度)・・・変調が行われる速度(単位:baud[ボー])
  • 伝送速度[bps]・・・一回の変調のビット数×信号速度。

 

変復調方式

この記事での学習内容 基本情報 応用情報

デジタルデータをアナログ伝送路を介して送るために必要な仕組みである変調、それを受信側で元に戻す処理である復調の代表的な方式の考え方、仕組みを理解する。

用語例:AM(Amplitude Modulation:振幅変調)、FM(Frequency Modulation:周波数変調)、PM(Phase Modulation:位相変調)、PCM(Pulse Code Modulation:パルス符号変調)、QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)、モデム

変調と復調

コンピュータ内部の信号は、そのままでは伝送路に流せない場合があります。

そのような場合には、伝送路に適した信号に変換する必要があるが、この際の変換を『変調』と呼びます。(この変調された信号を乗せる信号を搬送波という)

信号を変調した場合には、伝送路の信号をコンピュータ内部の信号に戻す変換も行う必要があり、この場合の変換を『復調』と呼びます。

コンピュータ内部の信号はデジタル方式のため、アナログ伝送路を使用する場合は、必ず変調と復調の作業が必要になります。

変復調方式

変調・復調の方式には、下記のものがある。

名称特徴
振幅変調方式
(AM:Amplitude Modulation)
ビットが0の時は振幅なし、1の時は振幅ありに対応させる方式
周波数変調方式
(FM:Frequency Modulation)
ビットの0と1に対応させて、周波数を変化させる方式。
位相変調方式
(PM:Phase Modulation)
位相(電波の進み具合)を変化させる方式
パルス符号変調方式
(PCM:Pulse Code Modulation)
アナログ信号を一定間隔でサンプリングして整数値化し、その整数を二進数に置き換える方式
直角位相振幅変調方式
(QAM:Quadrature Amplitude Modulation)
振幅と位相の両方の要素を変化させることで複数の情報を一度に伝達できる変調方式。
パルス幅変調
(PWM:Pulse Width Modulation)
パルス波のデューティ比を変化させて変調すること。
(デューティー比:パルス幅をパルス期間(周期)で割ったもの)

多重化方式

この記事での学習内容 基本情報 応用情報

一つの伝送路を複数の通信で同時に使用する多重化について、代表的な方式の考え方、仕組みを理解する。

用語例: FDM(Frequency Division Multiplexing:周波数分割多重)、TDM(Time Division Multiplexing:時分割多重)、CDM(Code Division Multiplexing:符号分割多重)、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)

多重化方式

大容量の伝送路がある場合、これを特定の通信が占有することは、効率が良い使い方とはいえません。
そこで、大容量の伝送路を複数の通信で共同利用できれば、効率的に伝送路を使うことが出来ます。

このように、一本の伝送路を複数の通信が共同で利用することを「多重化」といいます。
多重化には仕組みの違いにより、いくつかの方式があります。

周波数分割多重方式(FDM:Frequency Division Multiplexing)

アナログ伝送路で多く採用されている方式で、信号が正弦波の場合、周波数が異なる複数の信号を混合しても分離できる性質があるので、この性質を利用して、上りと下りの信号で異なる周波数を使います。

また、周波数を等間隔に分割し、複数の回線を回線ごとに違う周波数を利用するという方法も取られます。(ADSLはこの方式)

時分割多重方式(TDM:Time Division Multiplexing)

デジタル伝送路で多く採用されている方式で、複数のデジタル信号にそれぞれ時間を順番に割り当てて、一本の伝送路で送る方式です。

伝送路は短い時間でみると、上り専用、下り専用になっています。

符号分割多重方式(CDM:Code Division Multiplexing)

デジタル伝送路で採用されている方式で、デジタル信号を符号によって「色分け」し、区別するようにする方式です。

波長分割多重方式(WDM:Wavelength Division Multiplexing)

光通信技術の一つで、複数の回線ごとに異なる光の波長を割り当てて、一本の伝送路にまとめて伝送する方式。

 

信号同期方式

この記事での学習内容 基本情報 応用情報

送信側と受信側で送受信のタイミングを合わせる信号同期制御について、代表的な方式の考え方、仕組みを理解する。

用語例: ビット同期、キャラクタ同期、フラグ同期、調歩同期、スタートビット、ストップビット、SYN同期、フレーム同期

信号同期方式

通信においては、送信側と受信側でタイミングを合わせることが必要になります。
タイミングを合わせなければ、受信側はデータの始まりと終わりを知ることも出来ません。この、通信においてタイミングを合わせることを「同期」といいます。

一般的な伝送路の同期方式は、ブロック同期方式とビット同期方式に分類されます。

ビット同期方式は電話網などで使われる同期方式です。

通常の通信では、ブロック同期方式が使われます。

ブロック同期方式の代表的なものに、調歩同期方式、キャラクタ同期方式、フレーム同期方式があります。

調歩同期方式

調歩同期方式は、文字符号の前後に同期のためのビットを付加する方式です。

1つの文字は8ビットですが、この8ビットの前に開始と終了を示す特別なビットを付加します。
開始を示すビットを「スタートビット」、終了を示すビットを「ストップビット」と呼びます。通常、スタートビットは0、ストップビットは1、データが無い場合は1を取ります。

受信側は、スタートビットとストップビットによって、文字の始まりと終わりの位置を知ることが出来ます。

文字毎にスタートビットとストップビットが付き、伝送効率が悪いため、低速な通信で利用されます。

キャラクタ同期方式(SYN同期方式)

キャラクタ同期方式は、同期用の制御文字を使い、キャラクタ(メッセージ)単位で同期をとる方式です。同期用の制御文字は「SYN」と呼ばれるので、SYN同期方式とも呼ばれます。

キャラクタ同期方式には、制御文字の使い方が異なる複数の方式があります。

一つは、データ部分を識別するために、データの先頭と終端にそれぞれ別の制御文字を付加する方式です。

もう一つは、データ部分を識別する制御文字を使わずに、代わりに先頭に「SYN」を2個入れる方式です。

キャラクタ同期方式が利用できるのは、8ビット単位の文字情報を伝送する場合に限られます。これは不定長や8ビットではない長さのデータの場合、「SYN」と同じビットの並びが出現する可能性があるためです。

メッセージのブロックごとにビット列を付加するため、中速な通信で利用されます。

フレーム同期方式(フラグ同期方式)

フレーム同期方式は、データのブロックの区切りに特定のビットの並びを使う方式です。例えば、フレーム同期を行うある通信方式では、2進数の「01111110」という並びを使っています。
この特定のビットの並びを「フラグパターン」と呼びます。そのため、フラグ同期方式とも呼ばれます。

キャラクタ同期方式が8ビット単位の文字情報を前提としているのに対し、フラグ同期方式は任意の長さのビットデータを扱えるので、文字情報以外の画像や音声などのデータ伝送でも利用できます。

フラグ同期方式は、送信するデータが無い場合でも常にフラグを送り続けており、データが発生した際にフラグの間にデータを挿入します。
受信側はフラグ以外のビット列が現れたときに、次のフラグまでのビット列をひとまとまりのデータとしてみなします。

データのまとまり毎にフラグと呼ばれるビット列を付け加えるため、キャラクタ同期方式よりも高速な通信で利用されます。

誤り検出・訂正

この記事での学習内容 基本情報 応用情報

偶数パリティ、奇数パリティなど、信頼性を高める技術の考え方、仕組みを理解する。

用語例: CRC、ハミング符号、パリティチェック、ECC、チェックサム

誤り検出・訂正

伝送路城の信号は、ノイズやタイミングのズレなどの影響で、データを正しく伝送できないことがあります。これを「伝送誤り」や「伝送エラー」といいます。伝送誤りがあると、送られたデータは破損してしまいます。正しくデータを送るためには、伝送誤りを検出したり、訂正する必要があります。これらの伝送誤りを検出したり、訂正したりすることを「誤り制御」と呼びます。

誤り制御は「誤り検出」と「誤り訂正」に大別されます。

誤り検出

誤り検出は伝送誤りの検出を行うことです。送信側は誤り検出のための情報を付加して送信し、受信側は誤り検出のための情報を使って、受信したデータをチェックします。

誤りが検出されると、受信したデータを破棄したり、送信側に再送信を要求したりします。

代表的な誤り検出の方式は「パリティチェック」「チェックサム」「CRC」などがあります。
方式により、付加される誤り検出のための情報のサイズや誤り検出の精度が異なってきます。

誤り訂正

誤り訂正は伝送誤りの訂正を行うことです。送信側は誤り訂正のための情報を付加して送信し、受信側は誤り訂正のための情報を使って誤りを検出、必要があれば正しいデータを復元します。

そのため、誤り検出と異なり、送信側に再送信を要求する必要はありません。但し、誤り訂正のための情報は、誤り検出のための情報より大きくなるため、その分通信の効率は低下します。

パリティチェック

パリティとは、値が1のビットの個数が偶数か奇数かをチェックする方式です。送信するビット列に誤り検出用のビット(パリティビット、冗長ビット)を付け加える検出方式です。

偶数パリティと奇数パリティの2つの方式に分かれており、偶数パリティの場合、付加すると値が1のビットが偶数個になり、奇数パリティの場合は値が1のビットが奇数個になります。

ただし、パリティチェックでは誤り検出は出来ても、どのビットに誤りがあるか判断できないため、誤り訂正は出来ません。

パリティチェックはどの方向にパリティビットを付け加えるかによって、垂直パリティと水平パリティの2種に分けられ、さらに両者を組合せた垂直水平パリティという方式もあります。

垂直パリティ

垂直パリティは送信するデータのビット列のまとまり毎(文字単位など)に、1ビットのパリティビットを付け加える方法です。

この方式の場合、どのビット列のまとまり(文字)に誤りがあったかが検出できます。

水平パリティ

水平パリティでは、送信するデータのビット列の同じ位置毎にパリティビットを付け加える方式です。

この方式の場合、どの位置のビットに誤りがあったかが検出できます。

また、データの量(文字数)が増えてもひとまとまりにするビット数が変わらない限りはパリティビットの数が変わりません。

垂直水平パリティ

垂直パリティと水平パリティを組み合わせることによって、1ビットの誤りを検出し、訂正することが出来ます。

チェックサム

データを分割し、文字などのブロック単位のデータを数値とみなして、合計を取った値を検査用の符号としてデータに付け加え、誤りを検出する方法です。

合計を取るブロックの大きさは8ビットや16ビットがあります。合計を計算する時、ブロックサイズの上限値より大きくなった場合、繰り上がりの分は無視されます。

CRC方式(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)

送信するビット列をある定数(例えば生成多項式で求められる値)で割って、余りを検査用の符号としてデータに付け加える方式です。

パリティチェックの場合、複数ビットが誤っている時に誤りを検出できない場合がありますが、CRC方式では連続したビットの誤り(=バースト誤り)を検出することが出来ます。但し、訂正はできません。

ハミング符号方式

送信するビット列の中に、誤りを訂正するための符号を付け加える方式です。誤っているビットを検出し、受信側で訂正することが出来ます。この符号、又は仕組みをECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)といいます。

ハミング符号方式では、4ビットの情報に3ビットの誤り検査用符号を加え、2ビットの誤り検出機能と1ビットの誤り訂正機能をもたせたものがあります。よって、ブロック内に2ビットの誤りが発生した場合、誤りの訂正はできませんが検出は可能です。

ハミング符号は伝送時に使うと冗長ビットが多くなり伝送効率が落ちます。しかし、誤り訂正が可能であり、信頼性が高いため、最近のコンピュータのメインメモリにはハミング符号方式の誤り訂正機能を搭載したものが一般化しています。(ECCメモリ)