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実用新案

2025.03.13

実用新案制度は、特許制度と並んで知的財産権の一つであり、特に「ちょっとした発明」や「改良」を保護するための制度です。以下に、実用新案制度の概要とその特徴について詳しく説明します。

実用新案制度の概要

実用新案制度は、物品の形状、構造、または組合せに関する考案を保護するための制度です。特許制度と異なり、方法や化学物質などは保護の対象外となります。

実用新案制度の特徴

  1. 保護対象:物品の形状、構造、または組合せに関する考案が対象です。高度な技術的思想である必要はありません。
  2. 無審査主義実用新案制度では、出願があった場合、形式的な審査のみが行われ、実体審査(新規性や進歩性のチェック)は行われません。
  3. 権利期間実用新案権の存続期間は、出願日から10年です。
  4. 権利行使実用新案権を行使する際には、特許庁が発行する「実用新案技術評価書」を提示して警告する必要があります。

実用新案制度のメリット

  • 迅速な権利取得:無審査主義のため、迅速に権利を取得できます。
  • 低コスト:特許に比べて出願費用が低く、権利取得までのコストも抑えられます。
  • 簡便な手続き:特許に比べて手続きが簡便であり、中小企業や個人発明家にとって利用しやすい制度です。

実用新案制度のデメリット

  • 権利の弱さ:無審査で権利が付与されるため、権利行使の際には技術評価書が必要であり、特許に比べて権利の強さが劣る場合があります。
  • 短い権利期間:特許の権利期間が20年であるのに対し、実用新案権の期間は10年と短いです。

実用新案制度の活用事例

  • 中小企業:大規模な研究開発を行う余裕がない中小企業が、迅速に権利を取得して市場競争力を高めるために利用します。
  • 個人発明家:個人発明家が、自身のアイデアを保護し、製品化やライセンス契約を進めるために活用します。

実用新案制度は、特許制度と補完的な関係にあり、特に迅速かつ低コストで権利を取得したい場合に有効です。