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線形計画法

2024.12.11

線形計画法(Linear Programming, LP)は、最適化問題の一種で、目的関数を最大化または最小化するために、制約条件を満たす最適解を求める数学的手法です。この手法は、経済学、工学、物流、製造業など、多くの分野で広く利用されています。

1. 線形計画法の基本的な構造

線形計画法では、以下の3つの要素から問題が構成されます。

  1. 目的関数: 最適化したい量(最大化または最小化する値)を表現する関数です。これは通常、変数の線形結合として表されます。
  2. 制約条件: 目的関数を最適化するために守るべき制限です。これも通常、変数の線形関数で表現されます。
  3. 非負制約: 変数には通常、非負の制約が課せられます。

2. 線形計画法のアルゴリズム

線形計画法を解くためには、以下のようなアルゴリズムが用いられます。

(1) シンプレックス法

シンプレックス法は、最も広く使われている線形計画法の解法アルゴリズムです。この方法は、初期の基本解から出発して、制約を満たしながら目的関数の値を改善していきます。具体的には、頂点間を移動しながら最適解を探索します。シンプレックス法は効率的ですが、最悪の場合は指数時間がかかることがあります。

(2) 内点法

内点法は、シンプレックス法とは異なり、制約条件の内部を移動して最適解を求める方法です。シンプレックス法が頂点間を移動するのに対して、内点法は解空間の内部を直接探索します。計算量の観点からは、内点法は大規模な問題において効率的です。

(3) 双対単体法

シンプレックス法の変種として、双対単体法があります。双対問題(元の問題の変形)を利用して解を導く手法です。

3. 線形計画法の応用例

線形計画法は、さまざまな分野で活用されています。代表的な応用例をいくつか紹介します。

  • 生産計画: 生産ラインでの資源配分、製品の最適生産量を決定する際に用いられます。
  • 輸送問題: 複数の供給地点から複数の需要地点に商品を輸送する際、コストを最小化するために線形計画法が使用されます。
  • ポートフォリオ最適化: 投資家がリスクとリターンを考慮して投資配分を最適化する際に用いられます。
  • スケジューリング: 複数のタスクやプロジェクトを効率的にスケジュールするために活用されます。

5. 線形計画法の制約と限界

線形計画法には以下の制約と限界があります。

  • 線形性の仮定: 線形計画法は目的関数と制約条件が全て線形であることを前提としています。現実の問題では非線形関係が多いため、その場合には非線形計画法を使用する必要があります。
  • 計算の複雑さ: 大規模な問題に対しては計算量が増大し、処理に時間がかかることがあります。しかし、内点法などのアルゴリズムがこれを改善しつつあります。
  • 解の一意性: 線形計画法は最適解が複数存在する場合もあります。このような場合、どの解を選ぶかは目的によります。

まとめ

線形計画法は、数理的な最適化問題を解決する強力な手法であり、目的関数を最大化または最小化し、制約を満たす解を求めます。シンプレックス法や内点法といった解法アルゴリズムを用いて、現実世界のさまざまな問題に適用することができます。