この記事での学習内容 ITパスポート
互換性の確保などのために,ISO や IEC といった標準化団体や業界団体が標準化を行っていることを知り,その活動の意義や標準化の身近な例を理解する。
標準化の必要性・意義
『標準化』という言葉を辞書で引くと以下のように説明されています。
1 標準に合わせること。また、標準に近づくこと。「まちまちの技術力を標準化する」
2 何もしなければ多様化・複雑化し、無秩序になってしまう事柄について、秩序が保たれる状態を実現するために、誰もが共通して使用できる一定の基準を定めること。製品やサービスの品質・性能・安全性・互換性の確保、利便性の向上、試験・評価方法の統一などを目的として、統一された規格をつくる過程をいう。「商品の規格を標準化する」
小学館 「デジタル大辞泉」
IT分野に限らず、世に出回っている工業製品の場合も同じだとは思いますが、情報機器や情報システム、アプリは多くの企業がそれぞれ開発をおこなっています。かといって、情報機器の開発元が異なるために相互に情報がやり取りできなくなってしまう、という無秩序な状態になってしまっては、利用者としても非常に困りますよね。
特にIT分野の場合、国や地域の垣根も超えて、情報を相互にやりとりすることも多いので、そういった時に問題が起きないよう、情報の扱い方などを国際的に標準化しておく、というプロセスが非常に重要になってくるわけです。
身近な事例
QRコード
「QRコード」は1994年にデンソーの開発部門(現在は分社化してデンソーウェーブ)が発明した、マトリックス型の2次元コードです。
QRコードは、トヨタ自動車のサプライチェーンの中で利用されることを念頭に発明されたものですが、「オープンソース」とされたこともあって、日本国内のみならず、世界中に普及しています。
身近なところでは、スマートフォンでのバーコード決済や、テレビ・紙面などの各種媒体からスマートフォンでWebサイトにアクセスさせる、などの用途で多く利用されています。
フォーラム標準
フォーラム”forum” は直訳すると「公開討論会」や「評議会」といった意味合いのある言葉です。
ここでいう「フォーラム標準」というのは、「特定の技術を事業化しようとする企業が集まって業界団体(フォーラム)を組織し、協議を重ねながらその技術の規格などを制定する標準」ということになります。
標準化という話の中では、JIS規格やISO規格などの公的な標準化団体が制定する「デジュール標準」というものもありますが、それとは異なり、業界団体・関係する企業間で規格を協議して決めるものをフォーラム標準と呼んでいます。
公的な機関を通さない分、先端技術に対しての即応性を求めてフォーラム標準が必要とされたり、市場の中での「事実上の標準(デファクトスタンダート)化」による市場での優位性獲得を狙って、フォーラム標準化を推し進めたり、というケースもあります。
JANコード
JANコードは ”Japan Article Number” の略で、主に商品識別コードとして利用されているバーコード規格の一つです。POSシステムや在庫管理システムにおいて、価格や商品名を検索する際のキーとして使用されています。
JANコードの規格は名前が表すように日本国内での規格となりますが、WPC(World Product Code)というコード体系に属していて、欧州のEANコード、北米のUPCコードと互換性があります。
JANコードは「JIS B 9550 共通商品コード用バーコードシンボル」として、1978年に標準化されました。その後、1987年にJISに情報処理部門が新設されたことに伴って、JIS X 0501 となりました。