公益通報者保護法は、日本で働く人々が、職務上知り得た企業や組織内の法令違反行為を公益のために通報する場合に、その通報者を保護することを目的とした法律です。主な要点は以下のとおりです。
- 保護の対象者
- 該当組織の労働者・役員・退職者であることが必要です。
- 労働者には、正社員だけでなく、パートタイム労働者や派遣社員、取引先の労働者も含まれます。
- 退職後1年以内の労働者・役員も保護の対象となる場合があります。
- 公益通報の要件
- 通報の内容が一定の法令違反行為に関するものであること。
- 通報が「公益のため」であること。つまり、個人的な利益のためではなく、社会全体の利益を目的としていること。
- 通報先
- 事業者内部(所属する企業や組織内の通報窓口など)
- 権限を有する行政機関(監督官庁や法的な権限を有する公的機関)
- 報道機関など第三者(特定の要件を満たした場合)
- 保護の内容
- 通報を理由とした解雇、降格、懲戒などの不利益な取り扱いから通報者を保護します。
- 公益通報をしたことを理由として事業者が公益通報者に対して損害の賠
- 償を請求することはできません。
- 通報者が派遣労働者だった場合、公益通報を理由として派遣契約を解除したり、派遣元に労働者の交代を求めるといった不利益な扱いも禁止されています。
- 違反行為の範囲
- 法令違反行為とは、刑罰が科される犯罪行為や、安全衛生、環境保護、消費者保護などに関する法令違反が含まれます。
- 一定の法令違反行為が何を指すのかは、「国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律」ということで、具体的に規定があります。(詳細は消費者庁のサイトを参照)
この法律は、企業や組織内の不正を早期に発見・是正することを目的としており、通報者が安心して違法行為を指摘できる環境を整えることを重視しています。
一見すると、情報技術者として何か直接業務に関わるような法律では無いように思えますが、この法律は働く人すべてに関わる法律です。
フリーランスとして、アプリの販売だけだとか、一般消費者向けのサービスのみしか行っていないなど、自分一人で完結できるような業務を行っているのでなければ、公益通報を行った方が良いようなシーンに出くわす可能性は排除できません。
なので、この法律の概要くらいは、社会人としての基礎知識、として知っておきたいものですね。