さる、2022年4月25日にIPAより以下のリリースがありました。
プレス発表 基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験を通年試験化:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
感染症対策のこともあって、受験者数の多い【基本情報技術者試験】と【情報セキュリティマネジメント試験】は2020年12月からCBT方式と変わっていましたが、受験可能時期は上期・下期でそれぞれ一定の期間内、となっており受験チャンス自体は従来通りでした。
それが、【ITパスポート試験】と同様に2023年4月からは通年試験化されるとのことです。
それに伴って、試験方式にも大きな変更があります。
- 試験時間と問題数の大幅変更
- 個別のプログラミング言語が対象外
この2点が大きな変更となる予定です。
試験時間・問題数の変更
現行試験では、午前試験・午後試験で各150分、トータルでは300分(5時間)という長丁場の試験でしたが、トータルで190分(3時間強)へ短縮となり、午前・午後ではなく科目A・科目Bという組み合わせに変わります。
現行 | 2023年4月以降 | |
試験時間 | 午前:150分 午後:150分 | 科目A:90分 科目B:100分 |
問題数 | 午前:80問 午後:大問11問中5問選択 | 科目A:60問 科目B:小問20問 |
これはCBT方式で時間帯をずらしての受験も可能になるので、午前・午後という分け方をやめる、ということでしょう。
問題数に関しては、科目Aは現行の午前試験と比べて、問題数も削減されていますが、1問あたりに割ける時間は若干短くなっています。
科目Bに関しては、現行の午後試験の大問5問から小問20問への変更となるので、単純に比較することはできません。こちらについては、試験範囲の変更の方が大きなトピックでしょう。
個別のプログラミングが対象外
この点が過去に例を見ないほどの大きな変更でしょう。
旧・第二種情報技術者試験の時代から一貫して午後の試験では個別のプログラミング言語の問題が出題されていましたが、個別のプログラミング言語は試験範囲から外れ、「普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う擬似言語による出題」へと変更されます。
プログラミング言語が出題範囲から外れることで、プログラミング言語の問題を苦手とされていた方にとってはありがたい変更になるかもしれません。
とはいえ、「データ構造やアルゴリズム」に関しては現在も必須問題となっていますし、「セキュリティ」と「データ構造やアルゴリズム」を中心とした構成に変わるとのことなので、「プログラミング的思考力」は必要となります。
プログラミング言語に関しては、実際の現場ではトレンドの移り変わりもあるので、試験対策で身につけた内容と業務で活かせるスキルは一致しないかもしれません。そう考えると、プログラミング言語が試験範囲から外れるのも時間の問題だったのかもしれませんね。
ただ、ITエンジニアとして仕事をするなら、「普遍的・本質的なプログラミング的思考力」は無いと話にならないレベルかと思いますので、その辺りの難易度は下げないで頂きたいと願います。
全体を見ると、短時間化・問題数の減少というのが目立つところですが、難易度的にどうなるかは蓋を開けてみないと分からないですね。
すでにCBT化されて久しい【ITパスポート】は過去問題が公開されていますが、【基本情報技術者試験】はCBT方式導入後、過去問は非公開になったので、実際の難易度を推し量るのは困難かと思います。
希望としては、年度が変わってからでもいいので、【ITパスポート】と同じように過去問題は公開していただきたいところです。でないと、難易度が極端に落ちていないか、合格者の知識レベルが過去の合格者と同水準にあるか、という点が評価できなくなってしまいますので・・・