【応用情報技術者試験】は【IPA】(独立行政法人 情報処理推進機構)が実施している【国家試験】で、2009年春季から実施されている試験です。
IPAが制定している【ITSSスキル標準】ではレベル3に相当する試験となっています。
IPAが実施している【情報処理技術者試験】の中では【高度IT人材への登竜門】に当たる試験となっており、1969年~2000年秋季まで実施されていた【第一種情報処理技術者試験】、その後継で2001年〜2008年まで実施されていた【ソフトウェア開発技術者試験】のさらに後継としてスタートした国家試験です。
試験の内容・難易度的にもほぼほぼ【第一種情報処理技術者試験】【ソフトウェア開発技術者試験】の後継と位置付けられる試験ですが、かつて高度情報処理技術者試験として存在した【プロダクションエンジニア試験】の内容も取り込まれることになっています。
【応用情報技術者試験】には「記述式」の問題が含まれていることもあるのか、いまのところCBT(Computer Based Test)方式が導入されておらず、大学キャンパスなどでの年2回の一斉受験となっています。
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応用情報技術者試験の概要
以下、IPAのサイトより引用。
引用元:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:応用情報技術者試験
対象者像
高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者
業務と役割
基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、独力で次のいずれかの役割を果たす。
(1) 需要者(企業経営、社会システム)が直面する課題に対して、情報技術を活用した戦略を立案する。
(2) システムの設計・開発を行い、又は汎用製品の最適組合せ(インテグレーション)によって、信頼性・生産性の高いシステムを構築する。また、その安定的な運用サービスを実現する。
期待する技術水準
1 情報技術を活用した戦略立案に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
1. 経営戦略・情報戦略の策定に際して、経営者の方針を理解し、経営を取り巻く外部環境を正確に捉え、動向や事例を収集できる。
2. 経営戦略・情報戦略の評価に際して、定められたモニタリング指標に基づき、差異分析などを行える。
3. 提案活動に際して、提案討議に参加し、提案書の一部を作成できる。2 システムの設計・開発・運用に関し、担当業務に応じて次の知識・技能が要求される。
1. アーキテクチャの設計において、システムに対する要求を整理し適用できる技術の調査が行える。
2. 運用管理チーム、オペレーションチーム、サービスデスクチームなどのメンバとして、担当分野におけるサービス提供と安定稼働の確保が行える。
3. プロジェクトメンバとして、プロジェクトマネージャ(リーダ)の下でスコープ、予算、工程、品質などの管理ができる。
4. 情報システム、ネットワーク、データベース、組込みシステムなどの設計・開発・運用・保守において、上位者の方針を理解し、自ら技術的問題を解決できる。
受験費用と申し込み方法
2022年4月1日受験より
7,500円(税込)
申し込み方法は、下記のサイトで案内が公開されますが、先日春季試験が終わったところなので、現時点で申し込みはできません。
IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:スケジュール、手数料など
試験時間・方式
- 午前試験:80問・150分・多肢選択式
- 午後試験:11問中5問選択・150分・記述式
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管理人の見解
ということになっており、冒頭に紹介した通り、高度ITエンジニアを目指す方の登竜門とも位置付けられる試験になっていますが、合格率は例年20%台という難易度の高い試験となっています。
また、20%という合格率は、実際の受験者数に対しての比率なので、申込者数に対しての合格率を取ると、15%前後という数字になります。(実際の受験率が例年60〜70%)
【基本情報技術者試験】と試験範囲は全く同じで、非常に幅広い知識が問われ、【応用情報処理技術者試験】ではさらに深い知識が問われることとなります。
なお、【応用情報処理技術者試験】の午後問題では、「プログラミング」や「アルゴリズム」の問題が必須ではなくなっていることから、一部では「プログラミングやアルゴリズムが苦手な人は基本情報を飛ばして応用情報を推奨」などという意見もあるようです。
確かに試験合格だけを目指すのであればそれで良いのでしょうが、「高度ITエンジニア」を目指そうという方がそういう消極的な思考で良いとは思えません。基本情報技術者試験対策のような個別のプログラミング言語の勉強は仕事で必要になってからでいいかもしれませんが、「アルゴリズムを考えて答えを導き出す」という作業はエンジニアの大事な仕事なわけですから。
勉強方法
管理人は【第一種情報処理技術者試験】【ソフトウェア開発技術者試験】の双方に合格しています。
その経験を踏まえると、IPAの【情報処理技術者試験】のうち、【応用情報処理技術者試験】までは【テキスト+過去問】というのが王道ではないかと思います。
市販のテキストは多数の出版社から毎年出版されているので、基本的にはその時点の最新年度のものを購入するのが良いでしょう。
【基本情報技術者試験】に合格した方、あるいは受験には至っていないが、十分合格できるレベルまで勉強した方であれば、その延長でより知識を深く掘り下げていけば良いでしょう。
ただ、【応用情報技術者試験】の午後試験では【基本情報技術者試験】とはちがって『記述式』の問題もありますので、よりしっかりとした知識が問われます。
【プログラミング】の問題が選択問題の中の一つということで避けることはできるかもしれませんが、避けたところで【開発プロセス】【ネットワーク】【データベース】などの記述問題はあるので、具体的なプログラミング言語の知識や個別のアルゴリズムの解法が問われないだけで、しっかりと問題文を読み解いて、考え抜いて答えを出すというプロセスは必ず必要になるのが、この試験です。
この試験は合格者の特典もあり、合格から2年という期限はありますが、高度情報処理技術者試験の午前試験が免除になります。また、他分野の資格でも【中小企業診断士】の試験のうち、「経営情報システム」の科目が免除されるというメリットもありますので、エンジニアからのさらなるステップアップを考える場合にも、受験する価値は大きい試験かと思います。